2010年12月29日水曜日

サンタクロースの部屋

今年のクリスマス、お宅にはサンタクロースはいらしただろうか? 我が家には今年も来なかった。というか、子供の成長とともにいつしかサンタさんがプレゼントを持ってやってくるというイベントは自然消滅してしまうものだし、それでいいのだと思う。

10年も前は大変なイベントだった。長男がイブの23時頃急に、プレゼントの希望を変更した時など、大慌てで買い直しに行ったりもしたし、次の日の朝、歓声とともに飛び起きる子供たちを見てほくそ笑み、“お父さんにもビールがきたよ”と起こしにくる子供たちを布団の中で待っていたりもしたものだ。あの子らはいつサンタクロースの正体を知ってしまったのだろうと思う。サンタさんが来なくなるというのは、やはり少しばかり寂しいことだと言わざるをえないなあ。

ところで松岡享子さんという方が書かれた本に“サンタクロースの部屋”というのがあり、序文にこんな一節がある。

“子どもたちは、遅かれ早かれ、サンタクロースは本当はだれかを知る。知ってしまえば、そのこと自体は他愛のないこととして片付けられてしまうだろう。しかし、幼い日に、心からサンタクロースの存在を信じることは、その人の中に、信じるという能力を養う。(中略)心の中に、ひとたびサンタクロースを住まわせた子は、心の中に、サンタクロースを収容する空間をつくりあげている。(中略)この空間、この収容能力、つまり目に見えないものを信じるという心の働きが、人間の精神生活のあらゆる面で、どんなに重要かはいうまでもない。(中略)むしろ、見えないものを信じることを恥じ、サンタクロースの話をするのは、子どもをだますことだというふうに考えるおとなが、子どもの心のふしぎの住むべき空間をつぶし、信じる能力を奪っているのではないだろうか”

だから、小さな子供のいるご家庭ではどうか盛大にクリスマスというイベントをこなしてほしいと思う。ま、うちにはサンタはあと10年くらいはやってこないんだろうけれどね。