去る8月10日に行われた内山優子さんと広島交響楽団の演奏会に行ってきました。開演の15分前くらいに着いたのだけど、まずたくさんの聴衆にびっくりしました。周南市のクラシックのコンサートに、こんなに沢山の人が.... 嬉しくなったので、入場口でビラ配りを少し手伝わせて頂きました。
曲目は
1.フィンランディア 2.シベリウスVn協奏曲 3.新世界より ですが、もちろん自分の興味はVn協奏曲です。ところで...
広島交響楽団を聴くのも実は初めてでして,上手いのにびっくり、っていうかまあプロだから自分なんぞが言うまでもなく当然なんですが、フィンランディア、なかなか良かったです。オケの性能と会場の響きを確認するにはちょうど良い感じで、2曲目に向けて気持ちが盛り上がっていきます。
さて、メイン(じゃないけど)のVn協奏曲、内山さんが紫の衣装で登場されると、割れんばかりの拍手、いやいや、皆さん、演奏をとくとご堪能あれ。ピッツバーグの演奏を(録画だけど)聴いていたので、ちょっと心に余裕があります。
第一楽章冒頭、いきなりのVnソロは、冴え冴えとした幻想的なフレーズで、Vn協奏曲の出だしではメンコンと並んで出色のもの。シベリウスさんも簡潔で最大の効果があがるべく考え抜いたんじゃないかしらん? 照明の落ちた無音の会場にあのソロが流れはじめると、いきなり北欧の一番寒くて暗くて、孤独な湖畔に連れ去られてしまったかの様。彼女の弾く冒頭から、演奏に求められるのは、無からの誕生を思い浮かべさせる透明感と作為的でない音の造形なのだと。そんな雑念を振り払っているうちにも曲はどんどんすすみます。すごい難曲のはずなのに技術的な苦労は微塵もなさそうで、ちょっと苦手な飛行機より断然安心して身を任せることが出来ます(?)。
第二楽章は、緩徐楽章でかなり内向的な楽想ですよね。ブラームス並でしょう。Vnの低弦のハイポジションで演奏されるメロディーたちの美しいこと。自分はこの楽章が全曲の中で一番好きです。そして彼女の演奏スタイルがここで一段とはっきりします。音楽と真っ正面から向き合ってきたに違いない、そうでなければ出せないであろう深い音に癒されます。少しうつむき加減に、彼女自身が自身に問いかけているかのような、ある意味,祈り に近い演奏と言えるかもしれません。余韻の中で時間が止まってほしいとさえ思いました。
第三楽章は一転、きらびやかでハデです。技巧的難所詰め合わせセットをつくってもこうはいくまいというほど。それだけに楽しい。とくに見ていて好きなのは最後の20小節ほど。終わっちゃうっていう演奏家の表情が、いつもよく見て取れる。ここ、内山さんは最後にまた気を引き締め直すかのような厳しい、よい表情でした。
終了! 拍手、拍手、拍手! ちょっと涙。 ありがとうございました。
サビをとりあえず
21 時間前