2010年9月4日土曜日

内山優子コンサートシリーズⅧ











宣言どおり今年も行ってきましたよ。曲目は以下の通り。

1.WA モーツアルト Vn. sonata KV526
2.プーランク Vn. sonata
3.JS バッハ シャコンヌ
4.E グリーグ Vn. sonata2 OP.13
5.アンコール  チゴイネルワイゼン 
       アヴェ ベルム コルプス

内山さんはいつもモーツアルトを最初に弾いてくれますが、今回のKV526はご本人もお好きみたい。いつ、そして何度聴いても新鮮さの失われないMOZARTらしい音楽ですね。演奏も伸びやかでとても良かったです。

プーランクとグリーグは初めて聴きました。プーランクは緊張感の高い音楽でしたが、最後まで張りつめたままの見事な演奏だったと思います。フランス音楽??と思いましたが、きっと作曲者の強いメッセージが込められているのでしょう。グリーグは北欧の音楽家に共通したちょっと冷たい肌触りの楽想が魅力的ですね。国は違うけどカスキ、パルムグレンなんかも割と好きなので、もう一度聴いてみたいです。

シャコンヌは大好きなのですが、今回は特に最後のDの盛り上がりが凄く印象的でした。と思ったらご本人も “弾き終わると青空がパーっと開けるようだ” みたいなことを言われてました。自分はこの曲を聴くと、バッハはいったいどんな日にこの曲を書きはじめ、書き終わったときはどんな精神状態だったのだろうetc.と、ついいらぬことを考えはじめてしまいます。まるで巨大な岩の様に堅く重く、近付き難いほど熱いのに、すうっと同化して魂を激しく揺さぶる.... きっとこの曲は死ぬまで好きだろうなあ。

ところでバイオリニストはこの曲を演奏中(後ではなく)どんな気分になるのでしょう。そういえば “トランス状態になる”っておっしゃってたっけ。シャコンヌを弾いている自分を、もう一人の自分が外から冷静に見つめている感じでしょうか? そして聴きながらいらぬことを考えている自分も “トランス状態” なのでしょうか。もし定義通りの完全なトランスになったら、弾き手も聴き手も音が聴こえてないことになるから、すごい音楽会ですね(笑)。音楽じゃないな、これは。例えは悪いけど魔法や呪いの言葉に近い。バッハは一体何を書いたんだろう?

とにかくとっても楽しい2時間ばかりでした。演奏者の曲に対する思いをゆっくり聴ける演奏会はそうは無いので。  必ずまた来年も行きますと、ここで宣言しておきます。
お忙しいでしょうが、お体を大切になさってくださいね。

(トランスについては別サイトの解説を参考にしました。本文中の赤文字をクリックすると移動します。)